劣等・優越コンプレックスをABAで捉える

みなさんごきげんよう(^-^)

前回、前々回とアドラー心理学における劣等コンプレックスそして優越コンプレックスについて解説してきました。今回は、それらをABAの視点から分析していきたいと思います。

簡単に2つのコンプレックスについて触れておきましょう。劣等コンプレックスとは、自らの劣等感を言い訳として、○○できないと結論付けることでした。例えば、「私は頭が悪いからテストで良い点が取れない。」というようにです。続いて、優越コンプレックスとは、自分の劣等感を補償するために権力者や有名人と親密であることをアピールしたり、ブランドものを過度に身につけて偽りの優越感に浸る状態を指します。詳しくはハイキュー!!にみる劣等コンプレックスからの脱却劣等感を補償する優越コンプレックスの記事をご覧ください。

ABAにおいては、認知的な部分は捉えず、あくまでも目に見える行動を捉えるため、劣等コンプレックスや優越コンプレックスを具体的な行動に置き換えて、考えていきたいと思います。

まず、劣等コンプレックスから考えていきましょう。例えば、次のような会話を想像してみてください。

  • 親:「テスト勉強しなさい!」
  • 子:「私は頭が悪いからどうせテストで良い点は取れないよ。」
  • 親:「もう勝手にしなさい。」または「あなたならやればできるよ。」

さて、これらの会話から子ども発言の機能をABC分析で捉えたいと思います。(ABC分析については行動の機能を見極めるの記事で解説しています。)

  • A(先行条件):親にテスト勉強を促された
  • B(行動):「私は頭が悪いからどうせテストで良い点は取れない。」という発言をした
  • C(結果):他者から励まされる【注目】、勉強についてそれ以上言われない【回避】

つまり、劣等コンプレックスから生じるこの行動には他者の注目を得ることと逃避の機能があることが分かります。この発言によって、他者から注目を得られたり、勉強から逃避できたとすると、このような発言は強化され、さらには劣等コンプレックスを持続させることになるでしょう。

次に、優越コンプレックスについてですが、こちらも同様に他者の注目を得るといった機能がありそうです。ブランドものを過度に身につけるという行動、そして有名人や権力者との親密さをアピールする言動などは、まさに注目を得るためと言えるでしょう。

以上のように、劣等コンプレックスや優越コンプレックスから生じる言動には、【注目】や【回避】の機能があり、その機能が果たされる結果が持続する限り、行動も強化され続けます。そして、劣等コンプレックスや優越コンプレックスといった認知も持続されるという負のスパイラルです。行動と認知は相互に影響しており、実に密接な関係であると言えるでしょう。

しかし、重要なのはこの負のスパイラルに支配され続けられるほど人間は脆弱でないということです。人間には誰しも高い可塑性が備わっています。

行動が変われば認知が変わり、認知が変われば行動が変わるのです。

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