死人テストで死人にできるかどうかを見極める

みなさんごきげんよう(^-^)

今日のテーマは『死人テスト』です。何やら穏やかでない文字面ですよね。しかし、ABAで行動を適切に捉えるためには、重要な考え方になりますので、ご紹介したいと思います。

最初に次のような事例を見てみましょう。

  • 子どもが欲しがるおやつを母が手に持っている。母が「欲しかったら、ちょうだいって言うといいよ」と伝えた。子どもはおやつを見て欲しそうにしているが、何も返答しない。母は「しょうがないわね」とあきれたように言って、おやつを子どもに手渡した。

さて、この事例をABC分析してみましょう。(ABC分析はどのように行動を学習するのかで解説しています。)

  • A(先行条件):欲しいおやつを母が持っている。ちょうだいと言うよう促された。
  • B(行動):返答しなかった。
  • C(結果):おやつをもらえた。

上記のような結果があると、返答しなくても、おやつがもらえるという学習になってしまい、返答しないということが強化されることになりそうです。

ここでまた死人テストに立ち戻りましょう。死人テストとは、簡単に言うと死人にできる反応かどうかをチェックするテストです。死人に反応!?って感じですよね。

何のために行うかというと、行動として観測、測定ができるかどうかを見極めるためです。ABAは、行動を取り扱う学問です。そのため、行動を的確に定義して、捉える必要があるのです。そのひとつの手順として死人テストがあり、死人にできる反応は行動として扱わず、逆に死人にできないことが行動であると考えるわけです。

具体的に死人にできそうなことを挙げると、返事をしないとか、横になっているとかが考えられます。つまり、先のABC分析ではBの行動として、返答しないということを当てはめましたが、これは誤りということになります。

また、先に挙げたような、返答しないというような反応は否定形で表されていることが分かります。行動を否定形で表現すると、食べない、歩かないなど、いずれも死人にもできることとして考えることができ、行動として捉えられません。

さらに、横になっているという状態を示すものであったり、運ばれているなどの受け身的なものであったりしても、行動として捉えることはできないのです。

それでは、『考えている』というのはどうでしょうか。死人であろうと、生きている人であろうと、客観的に目で見て分からないことです。このように、客観的に観測できないものや測定できないものも、ABAにおいては行動として捉えることはしません。

以上のように行動を死人テストという観点から見ていくと、行動の捉え方が変わるはずです。先の例の『返答しない』という反応は、もしかしたら『顔を背けた』とか『その場を離れた』などというような行動として捉えられるかもしれません。行動を具体的かつ観測、測定できる状態で捉えることが、ABAの大前提となるかと思います。

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