親切にふれる

メルカリという便利なものを知って以来、やたらと本を買うようになった。
アマゾンよりも断然安く手に入ることがあるし、絶版になっている本も良く見つかる。
アドラー心理学に関する本で『精神分裂病者への接近』や『ライフ・スタイル診断』といった専門図書も数百円で買うことができた。
とてもありがたい。
そんなメルカリ様様での出来事を今日は書いてみたい。

ある日、メルカリで本を探していたら定価2000円ほどの本が700円で売っていたので即ポチした。
メルカリというのは、販売者と直接チャットでやりとりする過程がある。
大抵は、購入ありがとうございます！とか発送しました！とかそんなことしかやりとりしない。
しかし、その日は違った．．．

先方から、本の状態に関して線を引いているページがいくつかあるので、もし気になるのであればキャンセルできますというメッセージが届いた。
私は本に書き込みがあるのはあまり好きではないので、いつも購入前に本の状態の説明をよくチェックする。
その本に関してはそういった注意書きが書かれていなかったので、即ポチしたのだが、ざんねんな連絡がきてしまった。

どうしようかな～と考えた結果、いっそのこと自分も好きなだけ書き込むようの本にしてしまえと思って、キャンセルせずに注文することにした。
私から先方には「私も本の状態について詳しくお尋ねしなかったので、そのまま注文させていただけますか？」とお伝えした。

そうしたら先方から、お詫びの文と関連図書を無料でお付けしますというメッセージが届いた。
その関連図書も先方が700円で出品している物で、それもまた私が欲しい本だった。
私としては大変ありがたいことだったが、無料でその本をいただくことは憚れることだったので、逆に提案させていただいた。
「その本も私が購入するので100円ほどお値引きしていただくのはどうでしょう？」と。
それに先方も了解されたのだが、その本の値段は300円と表示されていた。
つまり、100円どころか400円も値引きしてくれた。
それで結局、私は1000円で欲しかった本を2冊手に入れることができた。
おまけにその本が届いた時には、お礼のお手紙まで添えてあった。
最後まで律儀な方だ。

人は親切にふれると、親切になる。
逆に無礼にふれると、無礼になる。
『Think CIVILITY』という本にもあったけど、人はそんな心理傾向があるらしい。
問題なのは、誰が親切をはじめるかということだと思う。
自分の‟あぁしたいこうしたい”とかそういう欲望や自分の時間や自分の資源をほんのちょっとだけ犠牲にして、だれかのために使ってみることはできないだろうか。
そんなことを意識して暮らしていきたいと私などは思うわけです。

最後にアルフレッド・アドラーの言葉を。
「誰かが始めなくてはならない。他の人が協力的でなくても関係ない。あなたが始めるべきだ」