「悪い料理はあるけど悪い素材はない」

何のテレビ番組かすっかり忘れてしまったけれども、とある番組で日本料理家の山本征治先生がすばらしい言葉を残していたのを覚えています。
「悪い料理はあるけど悪い素材はない」と。

私には料理のことはよくわからないけど、この考えは人間にも言えることだと思うのです。
「料理」という言葉は「使い方」に変換できるかもしれないし、「素材」という言葉は「性格」とか「特性」とかあるいはそのまま「素材」と言ってもいいかもしれない。
つまりは、こう言えないだろうか。
「悪い使い方はあるけど、悪い性格はない」と。

性格が良いとか悪いとか、優れているとか劣っているとか、人間に対する価値判断というのはとても恣意的だと思うわけです。
人間の性格や特性というのはそれ自体に良いも悪いもないと思うのです。
たとえば、私は面倒くさがりな性格です。
この性格をうまく使えば、ものごとを効率的にこなしていくことができます。
一方で、悪く使えばやるべきことを後回しにして、他の人にも迷惑をかけることがあるかもしれません。

このように一見同じ性格であっても、どう使うかによって長所にでも短所にでもなり得る。
だとしたら、自分の性格に嘆く必要はない。
ただ自分の性格が、自分という素材がどうしたらうまく料理できるのかを考えていけばよいと思うのです。
素材の悪さに文句を言っている暇はないし、そもそも素材に良し悪しはないんだ。

アルフレッド・アドラーが次のような言葉を残しています。
「何が与えられているかが問題なのではなく、与えられたものをどう使うかが問題なのだ」

この言葉を見るといつも思い出すのが赤鼻のトナカイです。
トナカイ自身はいつもみんなの笑いものにされて、自分の鼻を「悪い素材」と捉えていたでしょう。
しかし、サンタのおじいさんが「おまえの鼻は役に立つのさ」と言うわけです。
まさに与えられたものをどう使うかという考え方。
さすがサンタさん。

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