みなさんごきげんよう(^^♪
今日は子どもとの関わりの中で、実際にどのようなプロンプトができるか具体的に考えていきたいと思います。プロンプトについては前回の記事で、大枠を解説しましたので合わせてご確認ください。ベンチプレスの説明ではない。プロンプトの説明である。
早速、例を挙げて考えていきましょう。例えば、自立的に子どもに靴を履いてもらうまたは脱いでもらうためには、どのようなプロンプトが必要でしょうか。
「たかしくん、靴履いて!」の一言で、自分の靴を棚から出して並べ、片足ずつつま先を入れる、そして踵の部分を手で引っ張って足を完全に入れるというところまでできたら、その一言以外のプロンプトは必要ないかもしれません。しかし、靴を履くという行動が未学習の場合、そうはいきません。
靴を履くという動作には先に述べたように、様々な動作が結びついていることがわかります。靴を履くという動作を分解して考えた時、例えば以下のようになります。(ここでは靴紐は省略します)
- 靴箱から靴を取り出す
- 玄関に左右正しく並べて置く
- 座って片足ずつ靴に入れる
- 踵の部分を手で入れる
- 立ち上がる
少なくとも5つのステップに分けられそうです。このようにステップに分けて考えることで、子どもがどこまで自立してできるかを見極めることができ、さらには過度なプロンプトを避けることができます。前回の記事でも述べましたが、プロンプトは最大から最小へという流れを持ち、できるだけ少ないプロンプトで自立的に行動できることが重要なのです。また、プロンプトは身体プロンプト、言語プロンプト、そして視覚プロンプトの順に段階的にフェードアウトしていくことが良いとされています。
さて、次は靴を履くということへのプロンプトとしてできることを、身体・言語・視覚に分けて考えてみましょう。
身体プロンプト
- 大人が子どもの手を引いて靴箱まで連れていく
- 大人が子どもの手に手を添えて一緒に靴を持つ
- 靴に足を入れるよう大人が手で足を誘導する
- 手を使って靴を履けるよう大人が子どもの手を靴に触れさせる など
言語プロンプト
- 「外に行くよー!」
- 「外行く前に、どうするんだっけ?」
- 「外行くから靴履こうねー!」 など
視覚プロンプト
- 左右正しく並んだ靴の写真やイラストを玄関の床に貼っておく
- 靴の履き方の手本を大人がやってみせる
- 外に行く前に靴のイラストや写真、文字を見せる
- 次の動作を指差しやタップで示す など
いかがでしょうか。繰り返しになりますが、目的は自立した行動であり、プロンプトは少ないことに越したことはありません。未学習のことであれば、すべてのプロンプトを導入していくことも必要でしょう。逆にすでに学習したことであっても、プロンプトが必要な場合がありますが、そのときには視覚プロンプト、言語プロンプト、身体プロンプトの順で必要に応じて追加していき、最小から最大へという流れを持つと良いです。
子どもの身辺自立に関しては特に、大人がさっさとやってあげることが時間の短縮になりますが、大人のプロンプトによって子どもが自立していくのであれば、そこにかける時間も総合的に短縮できることになるのではないでしょうか。子どもが自立的な行動を獲得するのためにABAのプロンプトという考えは有用ですので、ぜひ日常の中で取り入れていただけたらと思います。
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